2002-8-8

　交尾中のエゾシロチョウ。ファーブル先生をまねて、わが草庵(？)の裏で撮影したもの。

　見た瞬間、交尾だなとは思ったのだが、待てよ、下のチョウはぴくりとも動かないではないか。しばらく観察を続けても、せわしく動くのは上の（たぶん）オスだけである。

　ひょっとしたら下のチョウは死んでいるのではないか、とぼくは疑った。やがてオスが離れてどこかへ飛んでいってしまっても、やはり下のほうはじっと動かない。チョウが死体をいたぶるというのも解せないので、そっと息を吹きかけてみた。

　すると下のチョウはふらふらと宙に浮かんだ。浮かんだのはいいが、はばたきに力がなく、すぐに地面に降下してしまったのである。これはどういうことだろうか？

　無知は悲しい。ものの本によれば、エゾシロチョウの「雄は雌が羽化するのを枝にとまって待ち、羽化したての雌と交尾する」とあるが、ぼくはそれを知らなかったのだ。

　羽化したてなら力がないのもあたりまえだ。表現は悪いが、なんとなくネクロフィリアめいてみえたのもふしぎではない。とにかく強烈な印象を受けた。

　なおメスの翅が濡れてみえるのは、濡れているのではなく、もともと半透明なのだそうである。

(2002年7月27日釧路市弥生にて。New FM2 + Ai Micro 55 mm F2.8S 使用)