ここは戦後もう一度空襲を受けたのではないかと疑われるほど、昔日の面影が失われてしまった。木造家屋はむろん絶滅し、名門料亭八ツ浪もすでに取り壊され、とんと荒城の月といった景色である。

　写真を撮った時刻も悪かったのだろう。早朝のこととて人影もなく、ゴーストタウンさながらである。おまけにちょっと逆光気味だったので、撮り直そうかと思い、先日も出かけたのだが、とうとうシャッターを切る元気が出なかった。

　ダメな景色は、凡庸な写真機使いがどう撮ろうともダメなのだと悟った。現在南大通は啄木通りと称して、観光の対象にもなっているらしい(？)。


　なるほど50年前の写真を見るかぎりでは、独特の味わいもあり、それもいちがいに誇大広告とはいえないけれど、現在の無味乾燥な景色から往時を想像せよというのは無理がある。この変りようには絶句するしかないのである。

撮影：1951年(左 (C)J. Hitomi）2000年11月3日（右）