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無事21世紀を迎えるのではないかと予想していた吉田商店だったが、９月の上旬にこの世から姿を消してしまった。あっけない最期である。 雨のそぼ降る暗い朝、ぼくは通勤途中に車の窓を開け、取り壊し中の建物を撮った。 すっかり変貌を遂げたわが町内にあって、ひとり異彩を放っていた吉田商店の跡にぽっかりと空いた空間は、おおげさにいえば、ひとつの時代の終りを告げるものである。 ベルリンの壁やソ連の崩壊とはまた違った意味で、一地方都市住民としてのぼくにとっては、20世紀最後の記憶すべき事件のひとつなのである。 |
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2000年9月6日（上）8日（下）撮影 |
(2000年9月15日) |
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吉田商店の跡地は、その後どうなっただろうか？ 個人の住宅が２軒、その隣にはアパート風の建物が建ち、まるで新興住宅地の一角といった景色である。 変わったのはここだけではない。あちこちで木造住宅の生き残りが姿を消して、没個性的な家に建て替わった。 もちろんしかたのないことである。容赦なくすきま風が侵入する昔ながらの木造住宅に、誰が喜んで住むだろうか？ しかし弥生町とほかの町々との違いが、緯度経度しかなくなりつつあるのはつまらないことも確かである。 |
| 2004年4月29日撮影 | （2004年4月29日） |
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